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October 08, 2006

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も

お久しぶりです。三次元データを扱う企業人として考えた場合の芦野さんの仮説をみていくと、次のようになるかと思います。

> 実はパッケージソフトウェアによってカバーされている領域はまだまだ限定的で、企業が使っているソフトウェアの 多くはカスタムメイド(システムインテグレーションサービス)に依存しているのではないか。

そうですね。うちでもそうですが、買ってきたソフトをそのまま使うというお客さんは少なくて、自分たちの都合に合わせてシステム内に組み込むという使い方をしているお客さんが圧倒的です。

> そして、パッケージソフトウェアの市場というのは、「以前はカスタムメイドだったものの標準化・テンプレート化」の繰り返しによって成長してきたのではないか。

三次元 CAD の大手である Autodesk はまさにその手で 80 年代から 90 年代に急成長を遂げました。元従業員の話によると、成長の大きな要因は、API を公開して、お客さんに自由にアプリをカスタマイズできるようにしたことだそうです。すなわち、お客さんがカスタムメイドしたモジュールやツールが「これはほかでも使える」と判断されて、Autodesk がそれらを組み込んでいって、その結果、自分たちの CAD が使いやすくなって、売れていくという循環がみられたようです。

> 今後も、パッケージソフトウェアは増加するだろうが、カスタムメイドの領域はなくならない。なぜならば、パッケージソフトウェアを使うということは、(厳密には違うのだが、極端に言い切ってしまえば)「他社と同じプロセス」ということだから。企業には必ず固有・独自のプロセスがあり、それが差別化・競争力の源泉のはず。

これも同意です。ある小さな企業が、たとえば QuickBooks 使って会計して、salesforce.com (これ、パッケージソフトウェアと呼べるのかわからないですが) でお客さんの管理をしてたとしても、じゃあその間のデータの受け渡しをどうやるかというと、CSV をつかうか、XLS をつかうか、といったところで使うフォーマットの曖昧性が発生し、それが異なるプロセスを生み出します。こんなところでさえ、パラメータの微妙な差異が出るのですから、これが売り上げ規模ですとか、顧客の数ですとか、それらのデータを扱い管理する人々の数ですとか、そんなパラメータをあわせていくと、結局「固有・独自のプロセス」が生まれざるを得ないのではないでしょうか。

三次元データの扱いをみてもまったく異なっていて、A 社は「一つのファイルに三次元、二次元、テキストのデータがすべてまとまっていてほしい!」というのに対して、B 社は「三次元データをウェブで配信したい。だから HTML で埋め込めればよい。二次元データやテキストデータは複数ファイルできてもかまわない。リンクしさえすればよいのだから。」というように言ってきたりして、それに応じたソリューションの提案が求められています。そんなところで、やはりパッケージソフトのカスタマイズという作業は必須だと思います。

> 但し、逆に言えば、「今は単に標準化できるかどうかが分かっていないが故にみんなバラバラに作っているが、実は標準化できる領域」「企業固有のプロセスで、自分のコアコンピタンスだ、と思っている領域も、実はそんなに特別ではなくて標準化しても問題ない領域」というのも、まだまだ残っているのではないか。

大いにありますね。たとえばある製品を作る際にマニュアルを書く場合、今までだったら、模型を作ってその写真を撮ったり、絵のうまい人がそれを模写したりしてて、その作業にここの企業でのノウハウが蓄積されてたのが、設計が三次元でできるようになって、そのデータがそのまま二次元に落とせるようになると、そんな作業やノウハウがいらなくなってしまう訳で、こんな領域こそ、芦野さんのいわれる「実は標準化できる領域」になる可能性があると思います。

ということで、この文章、非常に多くの有益なことを考えさせられました。また、僕が日頃感じていることと、まったくぴったりと重なる気がします。どうもありがとうございます。

Tomomi

もっちぃ、
コメントどうもありがとう。
このエントリを書いた時、私の頭にあったのは、業務アプリケーションの分野(CRMとか)だったのですが、他でも通用する事例があるよ!と言ってもらえて嬉しかったし、勉強になりました。
Autodeskの事例は、MicrosoftがWin32 APIを公開して、サードパーティによるソフトウェアが増加して、「Windows生態系」ビジネスという世界ができたのと似ている気がします。
それに倣ったかどうか分かりませんが、昨今はAmazonやGoogle、Salesforce.comもAPIを公開していますよね。こういう成功体験って、今に始まったことじゃなくて前からあったのか!というのが目からウロコでした。

またぜひ色々情報交換させてくださいね!

はせがわ

こんにちは、いつも興味深く拝読させていただいております。
いくつか思うところはあるのですが、少々コメントさせていただだければと思います。

仮説3に関してですが、
>今後も、パッケージソフトウェアは増加するだろうが、カスタムメイドの領域はなくならない。なぜならば、パッケージソフトウェアを使うということは、(厳密には違うのだが、極端に言い切ってしまえば)「他社と同じプロセス」ということだから。企業には必ず固有・独自のプロセスがあり、それが差別化・競争力の源泉のはず。

に関連して、もさんもご指摘の通り、パッケージを利用しても「独自・固有のプロセス」は生まれてきます。(それが競争力を生むかどうかは別に考える必要がありますが。。。)

私が考える仮説は、業務プロセスとソフトウェア(システム)はもともと関連がない(独立して存在する)、故にソフトウェアですべての業務プロセスをカバーさせようとした場合には、独自のソフトウェアを開発、利用を継続して行く必要があるというものです。(故にカスタムメイドはなくならない)

現状では、業務の中でソフトウェアを利用することが当然となっている領域(会計とか?)もありますが、その領域でさえソフトウェアがすべての業務プロセスをカバーするということはほぼあり得ない状況です。

もさんとは異なる例ですが、
業務プロセスに対するソフトウェアの利用は、「使えるところを使う」的アプローチで行われるところが多く(昔はBPRという言葉に押されて、「無理しても使う」というものが多かったですが。。。)、ソフトウェアではカバーしきれない業務ファンクションも多数存在していますし、その業務プロセスが「独自・固有のプロセス」である場合もあると思います。

それらをソフトウェア上で実現しようとした場合には、カスタムメイド開発が必要なり、そこで開発した経験を生産者(ベンダー)へのフィードバックすることで、新たな機能を追加して新しいバージョンのソフトウェアが登場するという(生態系? 私はエコシステムと読んでいますが(笑))ことが繰り返されています。(仮説2ですね)

将来に対しても、実は上記のようなことの繰り返しが行われるのではないかと考えています。理由は、業務プロセスは時間の経過とともに変化するからです。

業務とシステムが独立して存在し、ソフトウェアが現状の業務に寄って行ったとしても、100%のカバー率というのは考えにくく、かつ時間の経過で業務自体が変化して行くので、このスパイラルは変わらないのではないかと考えています。
また、業務の変化の要因はテクノロジーの進化にあるかと考えていますが、競争優位はテクノロジーだけを要因にしている訳ではないと考えられるので、差別化はできても競争優位になるかどうかはわからないというのが、私の考えです。

(余談ですが、ソフトウェアのみですべての業務プロセスカバーできた場合であっても、その利用の仕方によっては、独自・固有のプロセスを生みだせる場合もあるかと思います。
これは、生産者側が想定していた利用方法を顧客側が独自に乗り越え、自社のプロセスに適応させてしまうというような場合です。(この場合、独自・固有のプロセスはソフトウェアではなく、その利用方法を決めるプロセスにあったのかもしれませんが。。。))

長々と書いてしまいスイマセン。。。
考えを行うきっかけを作っていただいて感謝しております。今後も拝読させていただきたいと思っております。

ありがとうございました。

Tomomi

はせがわさん、
深い洞察コメントをいただき、ありがとうございます。
確かに「同じパッケージソフトを使う=同じプロセス。差別化できない」はちょっと短絡的だったかもしれませんねー。
「全ての業務プロセスをソフトウェアでカバーするのは無理」
「ソフトウェアでカバーされていない部分にも企業固有のノウハウ・競争優位の源は存在する」
「業務プロセスはどんどん変化して行くので、ソフトウェア(パッケージでもカスタムメイドでも)でカバーできない領域は残る」
全ておっしゃる通りだと思います。

例えば、大企業の場合、受発注業務(とりわけ受発注データをやりとりしたり、管理したりする部分)にはほぼ確実にソフトウェアが使われているかと思いますが、「そもそも、何を買うべきか」「どこから買うべきか」値段やカタログに現れないスペックを見極めるノウハウなんていうのは属人的なスキルであり、差別化要素ですよね。「納期を短くできないかネゴる」とか。

確かにソフトウェアでカバーされない業務は常にあるのですが、それと同時に、今日の企業活動がソフトウェア無しでは成り立たないことも、事実だと思っています。あと、パッケージソフトウェアの市場が拡大していることも。

ですので、今回のエントリは、「ソフトウェア市場全体が拡大して行く中で、決してカスタムメイドのソフトウェアは衰退するわけではなく、絶対的な規模は拡大して行くだろうが、全体に占めるパッケージソフトウェアの割合は徐々に増加するのでは?」という趣旨だとご理解いただけると嬉しいです。

#特に日本企業は「現場力」が強いので、属人的なスキル・ノウハウに依存する度合いがアメリカ企業に比べると高いかもしれません。
#実は、次あたりに書こうかなと思っていたのですが、アメリカが有力なパッケージソフトウェアベンダを次々生み出しているのは、現場力が(日本と比べると総体的に)弱く、マネジメントの仕事というのは、いかに属人的なスキルに依存しないオペレーションを構築するか、そのためにどうソフトウェアを活用するか、を考えるところにあるように思っています。CRMやRFIDなんていうのはその好例ですね。

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