競争はどんどん国際的に
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ブログの魅力と可能性

昨日は、JTPA「ブログの魅力と可能性」セミナーに行ってきました。 小ぢんまりとしたセミナー、いやむしろ「シリコンバレー日本人ブロガーのオフ会」に近い雰囲気で、それぞれブログに対する思い入れが興味深かったです。身につまされる話も多かったですし、個人的には、炊飯器でサンマを焼いた方と名刺交換できなかったのがとっても残念です。

ブログブームの立役者でもあり人気ブロガーでもある三人のお話から感じた「ブログの魅力と可能性」をまとめると、

  • 人は皆それぞれ素晴らしいものを持っていて、それを表現したいという強い欲求を元々持っている

    「知識や情報というのは、その筋の権威みたいな偉い先生だけが持っていてヒエラルキーのように存在するというわけではなく、現場の人の方がよっぽど良く知っていてためになることもたくさんある」(千賀さん)「家に帰れば旦那や子供の世話で忙しいし仕事もしているので、通勤時間を使ってケータイでブログしたい。だから手伝ってくれ、という主婦の方から助けを求められたことがある」(平田さん)

  • パブリッシングツールとしてのブログ、Movable Typeは、人々の自己表現の欲求を容易に実現する手段を提供した

    「中島らもは、お酒を買うプロセスがもっと複雑で大変だったらアルコール中毒は生まれない。自動販売機やコンビニがあるからこそアルコール中毒を助長すると言っていたが、それと同じように、TypePadBloglinesのようなツールがあるからこそ、これまで日記は三日坊主だった自分でもブログは続けられている」(村山さん)「1万人の読者では、従来の商用メディアは成立せず、同人誌を出すのはとても労力の必要なことだった。でも今はそういうニッチでナローなメディアを個人の力で持てるようになった」(千賀さん )

  • 従来メディアにはないパーソナルな香りという魅力

    「2ちゃんねる等の掲示板と違うのは、書き手が同一であるということ。たとえ実名を出さなくても、書き続けているうちにそこには何らかの書き手のアイデンティティが出てくる」「有名人ブログが最近増えているが、受けるものと受けないものが明確に二極化している。プロモーション狙いのものは読み手に受け入れられない。社長ブログは、恐る恐る書いている人が多いが、何でもアリの人もいて、両極端(笑)」(平田さん)「同じクライアントと長い付き合いになる仕事が多いので、ブログをクライアントが読んでくれることで、前よりも人間関係がスムーズになった」(千賀さん)

  • これまで表現手段を持たなかった人達の声、情報がネットワーク上で繋がり、蓄積されるようになったので、それを活用すればよりクリエイティブな活動ができる

    「インターネットの開発者は、ウェブやインターネットは本来双方向的なものになると想定していた」「多くのブログ同士が情報やリンクで双方向に繋がっている。ブロガーであることは、自分1人の世界を超えた、もっと大きな思考回路の一部である感覚がある」(村山さん)

  • コンテンツマネジメントシステムとしてのブログ、Movable Typeの可能性

    「社内コラボレーション、ナレッジマネジメントシステムと言うと大袈裟だが、企業社内では日報の置き換え等で使われている。また、工場の生産管理部門のようなクライアントもいる。ホワイトボードやポストイットで管理していたものを置き換える等、こちらが想定していなかった何か新しい使いみちを考え出したのではないか」「社外向けでは、マーケティングやプロモーション用途、あるいはCMSが高価でこれまで持てなかった企業にまで裾野が広がると思う」(平田さん)「伊藤穣一さんのブログを見てぱっと閃いたのは、これでJTPAのサイトも管理できる!ということだった。皆に理解してもらえるまで3ヶ月掛かったけど(笑)」(千賀さん)

とまあ、世の中にこれから何か面白くて価値のあるものが生まれそうな可能性を大いに感じたサンノゼの夜でした。(その後、ベト麺's隊員一同で「突ベト」を試みたが、開いてる店がなく結局中華になったのが残念。おいしかったけど)

余談ですが、Six Apart社は創業以来黒字だそうです。

ちなみに、実は、SVJENも、現在WebサイトをMovable Type (3.1)に移行中です。サブカテゴリ機能がデフォルトになったお蔭で、コンテンツマネジメントシステムとしても相当強力になったなあ、というのと、見た目も「ここまでブログっぽくなくできるんだあ」という感動。ここまで来るまでの道のりはとっても長かったのですが、CMS導入プロジェクトが動いているのもひとえに、(なんと、日本から協力してくれている)素晴らしいボランティアの方々のお蔭です。

以下は、私個人の「ブロガー的感想」ですが、

パネリスト3人のお話を聞き、また、私自身も含めて、ブロガーとして続いている人の特徴は、「表現したいことは色々あるが、話し言葉より書き言葉での自己表現の方が得意」「シャイ」なのではないか、ということです。

「口べた」「話した言葉が上滑りしている気がして、本当に人に届いているのだろうか、自分をもっと分かってもらいたいといつも思っていた」という言葉に現れているように、話す/聞くコミュニケーションにおけるフラストレーションや苦手意識が強いので、その分、書き言葉で他人に伝えようとしているのかもしれません。

せっかく直接パネリストの方々と会ったので、パーソナルな感想も書きますと、

  • 平田さん:神様と言っても、偉そうどころか、とっても柔らかい方でした(物腰も思考も)。あと、思っていたよりお若かったというのと、アイコンがあまりにご本人に似てたので、驚きました。
  • 村山さん:オフでも何度もお会いしてますし(鍋の会とか)ブログは相当素で書いてらっしゃると思うので、今回大きな発見というのはなかったのですが、初対面の方はたぶんヲタクっぷりに驚いたのではないでしょうか?(笑)ところで、事前予告なく会場で振られたのでびっくりしましたよ!(涙目)
  • 千賀さん:一見クールっぽいけど、実は感受性の強い方なんだろうなあ、と以前から思ってはいましたが、今回ちょっぴり素顔に迫れたようで嬉しかったです。共感できるところがたくさんありました(ブログには書かない"Beyond"の私の存在、他人のブログは実はそれほど読んでない 等)。悩み相談にまで乗ってくださって、ありがとうございました!

最後になりましたが、本セミナにあたり、私のブログを宣伝してくださった外村さん、千賀さん、そして会場で私のブログを読んでいる、ぜひ読んでみたいとおっしゃってくださった皆さま、ありがとうございました。口べた&恥ずかしがりやなものであまりうまく表現できていませんが、褒めてもらえて素直に喜んでおります。

Comments

SW

>「表現したいことは色々あるが、話し言葉より書き言葉での自己表現の方が得意」「シャイ」なのではないか

この指摘は面白いですね。ちょっと頷けるところがあります。もちろん、例外もたくさんありますが。

すぎじい

同じ話を聞いたのに、感じ方、まとめ方が違うものです。
個人的には平田氏の話にものすごく感動しました。お母さんが生存確認のためにBlogをチェックされている話は笑えました。僕の場合は友人がそれをしているようです。

参加した方でBlogを書いているひとがなんらかの投稿をされるでしょう。ほかの人のもみたいものです。

morihiro

I have been reading your blog for a couple month. That was great to meet you! The seminar was kind of different and a lot of fun too. I learned much more about blogging. I look forward to coming to this site more. (I don't know why but I can't type Japanese here)

Tomomi

>>SWさん
喋るのが得意な人は、喋って十分コミュニケートできるので、書く手間暇を「かったるい」と思うことが多い気がするんですよね。(少なくともうちの夫はそうです 笑)

>>すぎじいさん
私も更新が滞ってると「具合でも悪いの?」と友達からメールを貰ったことがあります(笑)
このエントリにTrackbackされてる上田さんが参加者のブログのリンク集を作ってくださったみたいですよ(すごいなあ)

>>もりひろさん
こちらこそ、ご愛読ありがとうございます。
ブログは完全に趣味でリラックスして書いているもので、プロの方に読んでいただくのはちょっとお恥ずかしいのですが、「友達とカフェでおしゃべりする感覚」でまた覗いてくださると嬉しいです。

masato

炊飯器でさんまを焼いた者です。(笑)
今日こちらで僕のことが書かれていると聞きました。
今度会ったときにはぜひ名刺交換しましょう。

Tomomi

>>masatoさん

わ~ご本人から書き込みが。めっちゃ嬉しいです~。言ってみるもんだ!(笑)
早速拝見しましたが、サンマだけでなく、サバの味噌煮とかロールキャベツとか、すごいですねえ!
私はコメは鍋で炊く派なんですが、炊飯器の底力、つくづく思い知らされました。。。
今度ぜひ色々お話しましょう!

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