A story about a hanger

(sorry, written in Japanese only)

贔屓のセレクトショップが自由が丘にあった。

私と同じく靴が好きで、IT業界で働いていた経験もあるオーナー店長は、アパレルが好きで、脱サラして小売りの世界に飛び込んだのだ、と聞いた。スーツも、ブラウスも、ニットも、カットソーも何枚もそこで買った。

今、その店は無い。

テナントとして入居していたビルが取り壊しになり、再開発で大きなモールができることになり、立ち退きにあった。彼の店がなくなることを、浮き浮きと夏用のブラウスのデザインと生地を選んでいる最中に、辛そうに打ち明けられた。

会社を辞めて始めた自分の店を失い、かと言って新たな店を出す程の投資を打つ余力も無く、彼は途方に暮れていた。

しかし、ここから、事態は急展開する。

彼の店の取引先だったニットメーカーから、新しい魅力的な仕事のオファーがあったのだそうだ。卸一本槍で来ていたその会社が、初めての直営店を出すので、ショップの立ち上げ、ニット以外の商品のセレクトや買い付け、接客、店のマネジメント全般を任せたい、と。彼の仕事ぶりを、きっと高く評価していたのだろう。

最初の彼の店の閉店から、わずか数ヶ月後には、立派なオープン案内ハガキをいただいた。恐る恐る、訪ねてみたら、前よりも広いし、立地も客層も違う。最初は遠慮しながら立ち寄っていたが、彼は、馴染みのあるお客の顔を見ると、いつも喜んで、前の店で買ったものや、私の気に入っている靴もよく覚えていて、季節が変わるたびに私に服を見立ててくれるようになった。

そして、新しい店ができてから1年が過ぎた頃。

彼のおすすめで、半年前のバイイング時期から予約を入れていたジャケットを取りに行ったら、「もしよかったら」と、一本のハンガーを袋に入れてくれた。

何も言われなくても、見ただけで、私には、それが何だか分かった。彼が初めて自分で作ったお店で使っていたハンガーだったのだ。

お店ができる前から、丁寧にその立ち上げの様子をブログに綴り、細かい備品の一つ一つまで、考え抜いていたことも、閉店するときに、壁紙の一部まで切り取って持ち帰り、大事にしていることも、私は知っていた。その主役とも言える商品をかけていたハンガーともなれば、彼にとっては、自分の分身のようなものに違いない。

「こんな大事なもの、貰う訳にはいかない」と遠慮したら、「いや、ぜひ貰って欲しい」と彼は言う。

自分が、前の店を畳まなければいけないことになった時、正直言って目の前が真っ暗になった。清水の舞台から飛び降りる覚悟で勤めを辞めたのに、これからどうなるんだろう、と不安で一杯だったし、贔屓にしてくれるお客さんに店がなくなることを伝えなければいけないのが、苦しかった。だけど、Tomomiさんに閉店を伝えたら、自分の家族や知り合いのリスクテイキングなキャリアチェンジの話をして励ましてくれたり、未来の希望について考えてくれたり、何より、落ち込んでる自分の気持ちを「売り手と買い手」の立場を超えて真剣に聞いてくれた。その時期、Tomomiさんが色々と辛い状況にあったということを、当時の自分は全く知らなかったし考える余裕も無かったが、後で聞いて、驚いた。

こうして一人でやってきた自分を必死に励ましてくれるお客さんがいて、すごく嬉しかったし、何より、人として、Tomomiさん自身が大変な時なのに、一知人である自分に、そこまで親身になってくれたことを、自分は忘れない。と。

私は、あんまり自分自身のパーソナリティや生活についてブログに書くことは無い。こういう、ビジネス色濃厚なブログだし、私の日常生活についてなど、それほど面白くもなければ特筆すべきこともないと思っているので。

でも、普段、わざわざ口に出すことは無いが、「自分がハッピーな時に他人に優しくできるのは当たり前。辛い時に、どれだけ他人の立場に立てるかが、人として大事」だと、長いこと思って来た。

「ブログが書けなかった」と以前告白したが、数年間、公私共に心を痛めることが数多くあった私にとっては、彼の言葉と気持ちは、涙が出そうになるくらい嬉しい贈り物だった。

とある元IT業界人がオーナーとして始めた、とあるセレクトショップのハンガーは、立派に「前肩」で、今も我が家のクロゼットに掛かっている。レディースとは思えない渋く上質な素材を使って、燻し銀の技術を持つ日本のテイラーが仕立てたジャケット(言うまでもなく、彼の新しい店で買った)の止まり木となって。


オープンソースは「所有」に対する既成概念に相反する/Steven Weber "The Success of Open Source"

(日本語は後半にあります。Japanese follows.)

I've been in interested in open source for several years since the idea came up to me that operating system won't generate the most of profit in computer business any more. It has surely generated the most, at least in the era of Wintel domination. "Design Rules: The Power of Modularity" is my recommendation to understand the ancien regime.

Why the concept of open source attracts me? One of the books I bought game me an explanation. That is "The Success of Open Source" written by Steven Weber. (I guess it isn't translated in Japanese.) According to the book, Weber is a professor of political science at University of California, Berkeley. It may sound odd but the fact didn't surprise me that open source attracts not only technology professionals but a social science professor. He explains open source is quite different from the mechanism seen in our society. Let me quote several impressive sentences: (I capitalized some words for emphases)

Open source is an experiment in social organization around distinctive notion of property rights. Property is, of course, a complicated concept in any setting. For the moment, consider a core notion of property in a modern market economy as a benchmark. The most general definition of a property right is an enforceable claim that one individual has, to take actions in relation to other individuals regarding some "thing". Private property rests on the ability of the property holder to "alienate" (that is, trade, sell, lease, or otherwise transfer) the right to manage the "thing" or determine who can access it under EXCLUDE OTHERS from it according to terms that the owner specifies. (An omission) 
Open source radically inverts this core notion of property. Property in open source is configured fundamentally around the right to DISTRIBUTE, NOT THE RIGHT TO EXCLUDE. If that sentence still sounds awkward, it is a testimony to just how deeply embedded within our intuition the exclusion view of property really is. 

***

ここ数年、オープンソースに興味を持っていた。たぶん、そのきっかけは、OSがもはやコンピューター産業における利益の源泉ではなくなっていくだろう、と感じたからだと思う。これまでの時代は、OSが最もコンピューターアーキテクチャーの中で支配的なモジュールであったことは確かだけれども。(人はそれを「Wintel時代」と呼ぶ)これまでのコンピューターアーキテクチャーの「モジュール化」の歴史を学べる良書としては、「デザイン・ルール モジュール化パワー」をおすすめします。

なんでオープンソースが気になるのか、自分でもよく分からなくて困っていたんだけど、ある本を読んで、激しく腹落ちした。「あー、そうか、だから私はオープンソースが気になってたんだー」と。"The Success of Open Source" Steven Weberという、UCバークレーの政治学の先生が書いた本です。なんで政治学の先生が?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、オープンソースという事象に見られる人々の行動は、従来世の中を動かすメカニズムとは大きく違う故に、彼も興味を持ったそうです。残念ながら、まだ日本語の翻訳は出てないようですが。印象的だった部分を下記に翻訳してみます。(原文は上記。太字は私が強調した箇所) 

オープンソースは、社会的組織における、所有権に関する典型的な理解に対する実験である。所有権とは、もちろん、どんな条件下においても複雑な概念である。しかし、近代経済における所有権というものが、どのように理解されているかを少し考えてみて欲しい。最も一般的な所有権の定義とは、ある個人が、ほかの個人との関係において、ある「物」について強制力をもった主張をすることである。私有財産というものは、他人に「譲る」(交換したり、売ったり、貸したり、さもなければ移転する)ことができるということの上に成り立っている。「物」を管理する、もしくは他人を排除する権利が、所有者の定める条件の上に成立する。(中略)
オープンソースは、所有権に対する根本的な理解をラジカルに、真逆のものへと変革する。オープンソースにおける「所有権」は、基本的に、配布する権利であり、他者に使わせない権利ではない。この文章がまだ不自然に聞こえるとしたら、それは、所有権の概念が、いかに私たちの本能において他者を排除することと一体化しているかの証拠というべきだろう。


The next-big-thing is CLOUD (English version)

(日本語バージョンはこちら

I read my past entries, especially about the forecast in the high-tech industry again today.

Many things happened during past 2 years. Now I'd like to examine my forecasts in the past and what I'm expecting now in computer-related and high-tech industry for the future.

* Habitat (and architecture of business) around computers is changing dramatically: that's what I blogged in December 2006. The next-big-thing is CLOUD COMPUTING, in my opinion, albeit I was not sure WHAT/HOW changed 3 years ago. The one I'll blog about is that.

* Importance of operational excellence increases in the competitive advantage for personal computer manufacturers. U.S. manufacturers had advantages in sales/support channels and those brands, but they depended on Asian EMSs for design and assembling, I wrote in September 2006. Netbooks sells well these days. Also, Taiwanese manufactures like Asus, Acer started to sell netbooks with their own brand names. This trend wii go on for a while. The only possible thing I can imagine is touch-screen technologies to add more value for personal computers.

* Would be the new lifestyle that consumers access/use any contents freely at anywhere, and any time. Apple was the most advanced to build a concrete and integrated business model in this field: I wrote in November 2006. The point was right. However, I didn't expect that iPhone became so disruptive not only for cell phone market but also for voice communication and gaming. Of course iPhone has an enormous impact on existing manufacturers (i.e. Nokia, Samsung, Palm, and RIM) of cell phone. There are an analyst predicts Apple sells 24 million iPhone units in 2009. By the way, 2008 sales of cell phone was 40 million units in Japan. Nowadays Japanese cell phone market looks like a garden enclosed with a wall... I guess Apple might redefine their whole product lineups including MacBook, iPod, and iPhone by tablets (rumored they would sell it soon). Or they have a brandnew concept I don't even imagine. Light Peak project (a plans for an interoperable standard which could handle massive amounts of data and replace the multitudinous connector types with a single connector, Engadget reported) will be a part of Apple's ambition. Apple is one of the most innovative companies redefining the market. I hope I will blog about Apple separately from this entry soon.

* Enterprise segment: First of all, Sun Microsystems would have a hard time, I forecasted 3 years ago. In fact, they were acquired by Oracle. This merger is a signal shows cloud computing rise to reconstruct hardware/software competitive landscape, in my understanding. However, I would like to express little optimism about Oracle's future. Their strategy had had a characteristic of mature companies to acquire applications to expand its product lineups and gain more from existing customers. Their growth of main products (DBMS) also became slower. That tendency becomes more clearer from their last financial report. Secondly, Hewlett-Packard. My analysis was they might strengthen (1) Servers and PCs, or (2) Software, and system integration. It would be reasonable to understand they chose (2) from the fact they merged EDS, one of the largest system integrators in U.S. However, I haven't analyzed how they have competed against IBM, the #1 system/software maker in the world.

* Software (my current business): It shows healthy growth according to Software Magazine (The Software 500, 2008 edition). The WW sales was $451.8 billion in 2008. Notable growth of Indian companies. It becomes more difficult to distinguish the border separating hardware from software in terms of business these days.

There are other leading companies in new computing era: Amazon, Google, Microsoft, and so on. In addition, I would like to cover Salesforce.com later. It would take time to write about more than 50 books I've bought (haven't finished all yet) ...


The next-big-thing is CLOUD

(English here)

久々に自分のブログを読み返した。

当時は全く想像してなかったことが起こったり、想像していたのとは規模は違ったけど方向性としてはまぁまぁ当たったり、ドンズバに当たったり、2年の間に色々あったなあ。過去の予測/分析の検証と、コンピューター・ハイテク業界の今後について、今思うところを書いておく。

  • コンピューターやソフトウェアは、生態系やアーキテクチャーが大きく変化する時期を迎えているのではないか、と、2006年12月に書いた。「どう」変わるかについては、当時は予想できなかったが、今は、おそらくクラウドコンピューティングだと思う。(クラウドは、ものすごく重要な概念だと思うので、別のエントリで改めて書く予定)
  • PC市場は、今後ますますオペレーション競争の様態を増すだろう。アジアでの設計/組立がメジャーになっており、米国メーカーの強みは顧客接点とブランドに絞られて来ていると、2006年9月に書いた。3年経った今、「ネットブック」が市場を席巻している。またこのカテゴリでは、Asusやエイサー等の台湾企業が自社ブランドで商品を販売し、急激に台頭した。この流れはしばらく続くだろう。PCが今後取りうる高付加価値化は、現時点ではタッチパネル技術ぐらいしか思いつかない。
  • 近未来(注:2009年9月現在では「既に起きている未来」と言ってもいいかもしれない)のライフスタイルは「どこでも・どんなデバイスでも、自由にコンテンツを表示・利用する」に向かう。また、この分野において、最も統合的なビジネスモデルを構築しているのはAppleだ、と2006年11月に書いた。この分析は大きくは当たっていたが、当時は、iPhoneがここまで破壊的イノベーションとなりうる存在になるとは、思っていなかった。まぁ、Appleが、そのうち携帯電話機を発売し、ポータブルコンピューターとしても活躍するかもしれない、とは薄々想像していたが、音声コミュニケーション(電話)、そしてゲーム産業にも相当インパクトがあるだろう端末としての売れ行きだけ考えてもすごくて、2009年は2,700万台出荷の予測なので、NokiaやSamsung, Palm, RIMといった既存プレイヤーに与えた影響は大だと思う。ちなみに、日本で販売された携帯電話は2008年度で4,000万台くらいらしい。。。同社は、今後更に、タブレットPC的な商品を出して電子ブックにも触手を伸ばすのでは、と噂されているが、MacBookやiPod、iPhoneといった同社の一連の商品ラインナップを整理する一環で、今は(私には)予想もできない、何か新しいコンセプトを打ち出してくるような気もする。IntelがAppleのリクエストに応えて高速かつ汎用的なインターフェースを開発するというLight Peak計画もその一部では。Appleに関しては、最近改めてイノベーターとして「市場(再)定義力」に注目しており、別途書こうと思っている。
  • エンタープライズ市場を考えると:まず、サーバ分野の企業では、Sun Microsystemsが厳しい、と予想していたが、同社はその後Oracleに買収されてしまった。これは、クラウドコンピューティングという、ハードウェア/ソフトウェアの市場構図の変化の一部と私はとらえている。だが、Sunを買ったOracleの今後に関しても、それほど楽観はできないと予想する。2006年9月時点で、Oracleは「既に主力のDB製品の成長が低下し、M&Aでアプリケーション製品ラインナップを拡張して既存顧客の囲い込み」という成熟企業の特徴を示していたが、その傾向が近年更に増しているからである。次に、Hewlett-Packardは、(1)サーバ、PC (2)ソフトウェア、システムインテグレーション のいずれかを強化してくるのではないかと分析していたが、2008年のEDS買収のように、経営資源の振り具合から推測するに、(2)に近づいていると思う。しかし、そこで生じるIBMとの競争をいかに戦っていくのかという点については、現時点では私はまだ分析できていない。それにしても、サーバ、アプリケーション、サービス、と、Oracle/hp/IBMのガチンコ勝負は明らかで、ハードウェア〜ソフトウェアの市場の切れ目が変化していることを強く感じる。
  • とは言え(私の現業でもある)ソフトウェア。日本市場は停滞気味?と感じることが多いが、少なくともアメリカ中心にみた場合、まだ健全に成長を続けており、2008年の市場規模は、$451.8 billion worldwideというのがSoftware Magazine (The Software 500)の分析。インド企業の成長が著しい。

大きな変化の渦の中には、まだ書き切れていない企業が色々ある。Amazon, Google, Microsoft, 等。ほかにも、Salesforce.comとか、そもそもブログでカバーし切れていない企業もあるが、またいずれ。

ちなみに、ブログを書いてなかった間に買った本・読んだ本は、Amazonで買ったものだけでも50冊くらいあるのだけど(カウントしてみてびっくり。。)その中でも、最も強く印象を受けたのは、「クラウドの衝撃」でした。


After a long vacation

(日本語は後半にあります。Japanese follows)

I've been absent from blogging for 2 years.

One of my friends through blog said a joke, "I was worried if you passed away cause you've not been blogging for a while."

If you blog or write something, you might understand how worse you feel in many ways when you CANNOT write anything than when you write a lot.

There're many possible reasons we cannot write anything: politics of organization/project we belong to, insufficient expression, serious theme (sometimes I don't know even whether I should write about that), and so on.

Recently I started to tweet cautiously. I've been silent for a while because of no chance/sense to start tweeting albeit the account has been created before.

Let me give you an example: I restarted to play catch and practice swing after 2 years I haven't even touched a glove. Now I'd love to play the game again from the heart when I'm with a scent of fresh grass on the ground. An absence of 2 years may make me think in such a way, albeit I'm nervous now.

A new effort is tweeting in English: I've been blogging only in Japanese before.

Another finding from 2-year absence is my passion about U.S. high-tech industry (for me, it's the most exciting place in the world since I've been in Silicon Valley). It's so fantastic people read my tweet living in various countries: U.S., U.K., Canada, India, Italy, Slovenia, Korea, etc, in addition to Japan.

I'm exciting to blog again about many pieces of a complex puzzle I've stored. Stay tuned if you like.

***

2年間もブログを書いていなかった。

ブログ繋がり?の知人には、一度、冗談半分で「ともみさん死んだのかと思ってたー」って言われた。

ブログや文章を書く人なら、分かってくれるんじゃないかと思うけれど、ばしばし書いているときより、「書けない」ときのほうが、色んな意味でものすごく苦しい。

色々なしがらみで、口を閉ざさざるを得なかったり、言いたいことがたくさんあるのに、口を開いてもうまく言葉にできなかったり、テーマが重たすぎて、どう書いたものか(そもそも書くべきかどうか)自分も分かんなかったり。

最近、おそるおそるTwitterを始めてみた。アカウント自体はかなり前に作っていたんだけど、どう呟いたものか、きっかけがなく、沈黙してたんだけど。

例えて言えば、2年近く、完全にバットとグローブを捨て、試合にも出ず、コートの外に出ていたのが、キャッチボールや素振りを再開してみた感じ。グランドの上を走ったり、芝の香りを感じていると、あー試合に出たいなーって思う。そして、こういう気持ちになるのも、一度故障して戦線を離脱してたからこそかもしれない。ちょっとまだ怖いけどね。

それと、Twitterでは新しいチャレンジもしている。「英語で」呟くことにした。私は、アメリカのハイテク業界のウォッチが好きなんだって、改めてよく分かった。ブログはこれまでずっと日本語メインだったんだけど、英語で呟いていると、アメリカはもちろん、イギリス、カナダ、インドなどの英語圏、はたまた、イタリア、スロベニア、韓国、など、色んな国の人がアクセスしてくれるチャンスがある。小さな井戸から大海原に漕ぎ出したようで、とてもわくわくする。もちろん、大海原の中で、自分がどこまで通用するのかはまだ分からないけれど。

書きたいことは色々頭の中に渦を巻いている。これから徐々にまた書いていこうと思う。とりあえず、再開宣言でした。

あと、祝☆再開ということで、ブログのドメインを取得しました。今後は、http://blog.vietmenlover.net/ でブックマーク等していただけるとうれしいです!


ハイテク企業のブログでの注目度合いと株価の相関

最近、株を買おうと思って勉強しています。「会社とお金」というトピックについて勉強するという意味もあり。どこのを買おうかなぁ、と物色しながら色々な会社の株価(およびここ数年の推移)をみるのは面白いです。

私なりに理解している「会社にとって株価が大事な理由」は、「株価が下がりすぎると、公開企業の場合は買収の危険性が増すし、非公開企業の場合、評価が下がると事業運営上必要な資金が調達しづらくなるから」です。

ところで、ふと湧いてきたのが「株価ってどう決まるんだ???」という疑問。投資家の立場で考えると、「将来も値上がりしそう=今後も事業の成長性がありそう」な会社だからこそ、そこの株を買いたい人が多くなり、株価が上がっていく、ということになろうかと思います。

世間の人の「この会社は将来も値上がりしそう」期待度は、ブログでの注目度と相関があるのだろうか?と気になったので、ぱぱっと思い付きで、似たカテゴリ(インターネット企業)でブロガーが注目してそうな公開企業を調べてみました。

                                         
企業名テクノラティ言及数株価(9月27日のいつか。単位は米ドル)
Google248,727569.15
Apple41,909153.3
Amazon220,88793.63
eBay61,46139.21
Microsoft336,47929.55
Yahoo35,86226.49

散布図の縦軸が株価、横軸がブログ言及数です。相関係数は0.285程度と、弱い相関しかありません。が、グラフで一番右下のMicrosoftを除くと、相関係数は0.69まであがりました。サンプル数が少ないですが、もう少し増やしてみたら面白いかもしれません。(同じジャンルの公開企業でよさげな会社が思いつかないので、もし候補思いついた方、お知らせいただけると嬉しいです。)

でも、株を買う(かもしれない)立場としては、その時点でのスナップショットよりも、できれば「今後値上がりしそうな会社」を探したい訳なので、欲しいのは、どちらかと言うと株価が上がる際の先行指標なんですよね。

ちなみに、私はデイトレード派ではないです。日中は本業があるしマメじゃないので、株価を始終気にする生活はできない。性格的にも向いてなさそうだし。なので、企業情報を地道に見ていって「きっとこの会社は価値が上がる」と思えたらそこの株を買う、という方法(ファンダメンタル分析?)をとろうと思っています。従って、株価が上がる際の先行指標は何か?を気にするのは、単なる知的好奇心です。

※私は今回のエントリで取り上げたいずれの会社の株も現在保有していません。

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やってしまった

名残桜だねぇ、なんて美味しい魚やお酒に舌鼓を打ってたら、夏になっちゃいました。てへ

徒然に近況を報告しますと、

  1. 遂に靴をオーダーしてしまった。といってもパターンオーダーだけど。ポニーなんて素材をうっかり使ってしまったもので、普段はもったいなくてあんまり履いてません。ちなみに完成まで半年待ちました。スペイン人はのんびりしてるのぉ。(写真は後日)そういや最近、一目惚れして買ったサンダル (Chie Mihara)もスペイン製でした。
  2. 遂にMacbookを買ってしまった。初めてのマックなので大丈夫かなぁ?と多少心配だったのですが、全然何とかなってます。「最近のPCってほんとFireFoxが動けば何とかなっちゃうんだなぁ。」「マックって設定楽!」「フォントがきれい!」「iPhotoってば使い勝手よすぎ!」等々、色々新鮮です。ていうかCore 2 Duo積んでこの値段だったらWindowsより安いだろ、と思いました。ちなみに、追加で買ったソフトは、ATOKとPhotoshop Elements、それとMS Officeです。Officeは、買おうかどうしようか最後まで悩みました。ワープロとプレゼンテーションソフトだけならiWorkで良いんだけど、やっぱスプレッドシートがないと〜。。。と悩んだ自分。ということはつまりMS OfficeのキラーアプリってExcelか。
  3. 遂にハーブを育てることになってしまった。会社の同僚が月桂樹を生け垣にしているそうで、たまに刈り込んだ後の葉っぱをいただいているのですが、オーガニック、しかも取れたてなので、香りが断然違うのです!トマトソースにポトフにカレーに、大変美味しく活用させていただいています。これまではアメリカで買ってきたMorton And Bassettsを使っていたのですが。感激して「私も今年ハーブを育てようと思ってる」と宣言したら、ミントとバジルの苗を分けてもらっちゃいました!あと、シソの種を買ったのでこれも蒔きます。サラダに、お蕎麦やパスタに、はたまたベト麺に、ちょっとだけハーブがほしいとき、いつでも手に入るって素敵〜。ワクワク。

名残り桜

女友達に誘われて、若き寿司職人 岡田大介さんの「酢飯屋」が開く「旬の会」にお邪魔させていただきました。テーマは「名残り桜」。

まさしく今が旬の桜海老を中心に、美味しいお魚をいろいろいただく会です。たまたまホームパーティにおよばれした格好の、知らない人同士8人がテーブルを囲むのですが、なぜかデザートの頃にはすっかり打ち解けていました。この日は、お料理と合うお酒(ワイン2種類&日本酒3種類)を選んでくださった、金井麻紀子さんもいらっしゃったので、ワインのお話もいろいろ聞けてラッキー!お料理もお酒もおいしかった〜。おいしいものが好きな人同士って、どうしてこんなに話が盛り上がるんだろう(笑)

次回は、気の置けない食べるの好きなお友達数人で、ぜひ岡田さんのお寿司が食べてみたいなあ。


ほんのり桜色の金目鯛を、蛤の出汁でしゃぶしゃぶ。
まるで八重桜のような艶やかさ。皮が縮まる3秒間ぐらい出汁にくぐらせて、レアでいただくのが最高です。

鰆(さわら)の塩焼き。一匹丸ごとだとけっこう大きいんですね。次回はぜひお刺身を!

たこのスモーク。土鍋風の陶器(伊賀焼き)「いぶしぎん」を使うと、おうちでスモークができるそうです。しかもたった30分で!!当然チップは桜の木。いい香りだ〜

筍の田楽。この日はラッキーなことに穂先の柔らかい部分ばかりでした。

杏仁豆腐。器も桜模様です。これに、ベリー/チェリーの味のリキュールをかけていただきました。
写真では分かりづらいですが、憧れの「バケツプリン」ならぬ「バケツ杏仁」サイズです!!

あ、しまった、メインの桜海老の写真がない。。。。(生桜海老、釜揚げ、桜海老の炊き込みご飯、をいただきました。おこげにしゃぶしゃぶのだし汁をかけて食べたらウマーでした)

嗚呼、日本人でよかった!!


自分と社会と仕事と (2)

今年、私は自分の会社の新卒採用活動のお手伝いをしている。ハッキリ言えば、面接官みたいなものだ。ずいぶん前にもリクルーターをしたことがあったのだけど、その時は気づいていなかったことに、今回いろいろと気づくことができた。

  • 若い社員に分かるのは、「誰が見ても合格」「誰が見ても不合格」な候補者である。
  • 若い社員の場合(特にその社員が自分に自信を持っている場合)上記以外のいわゆるボーダーライン上の候補者に対する判断基準は、「自分と似ている候補者」に偏りがちなことがある。
  • 自分とタイプが違う候補者に対してもバランスの取れた見方ができるようになるには、社歴(あるいは社会人歴)5〜8年は掛かるようだ。
  • チームリーダーとして、「いろいろな人がいないと困る」と考えられるようになるのは、その後のこと。

そんなわけで、今年は、新卒の学生さんと会うことだけでなく、一緒に採用活動に関わっている(私より)若い人の話を聞くのが非常に面白かった。と、こういう話を、先日、行きつけの美容室でスタイリストさんにしたら、「美容師も、一人前と言えるようになるには、人によっても差はあるが、だいたい5〜8年掛かる」と言われた。

私はSE、美容師さんとは業種も職種もかなり違うが、この偶然の符丁には何か法則性や意味があるんだろうか?

(次回へ続く。多分。ちなみに前回は半年以上前だった。。。)


マイケル・クスマノ「サービス・イノベーションの重要性」

一橋大学イノベーション研究センター創設10周年記念国際シンポジウム 「イノベーション研究のフロンティア-日本の国際競争力構築に向けて」に参加して来ました。

このブログをご覧になった方には、一目瞭然かもしれませんが、「ソフトウェア産業」「イノベーション」「日本の国際競争力」は、三度の飯の次ぐらいの私の大好物です。なので、今日のセッションはいずれも面白くて、終日興奮しまくりでした。いや~、こんな充実したカンファレンスが無料とは、何て太っ腹なんだ!>一橋大学&日経新聞

しかも、クスマノ教授の著書、とりわけ「ソフトウエア企業の競争戦略」「プラットフォーム・リーダーシップ」は私の座右の書。もう、教授の話が生で聴けて、直接質問させていただいて、しかも、講演の後には"The Business of Software"(ソフトウエア企業の競争戦略の原著)にサインまでいただいたので(そのために家から本を持参した)、超満足です。

そんなわけで、まずは、一番楽しみにしていたクスマノ教授の講演の議事メモからアップします。(講演資料は後日ウェブで公開されるそうです)講演のキモは、

  • 2001年以降、ソフトウェア業界では、深刻なコモディティ化によってプロダクト(≒パッケージソフトウェアのライセンス)売上が減少している。
  • プロダクト売上の減少を補うものとして、業界全体的に「サービス」の割合・重要性が増してきている。
  • ソフトウェア企業のビジネスモデル(レベニューの上げ方)は、多様化してきている。
  • しかしながら、プロダクトとサービスの売上高の割合の変化という事象の捉え方として適切なのは、「個別企業のビジネスモデルの変化」なのか、「プロダクトライフサイクルの変化」なのかは分からない。
  • また、サービスの重要性が増していることについて、これが一時的なトレンドなのか、今後もずっと続くものなのかも、分からない。

●これまでのソフトウェア・ビジネスのメカニズム

サービスというのは、「プロダクトが売れなくなった会社にとっての墓場だ」(Scott McNealy)という言葉もあるように、一般的には、労働集約的で、プロダクトに比べて利幅も薄く、人数を増やす以外に売上を伸ばす方法がないと考えられています。

しかしながら、プロダクトを売ると、それに伴うメンテナンスやカスタマイズ、コンサルティング等サービスも含めると、ソリューション全体としての売上はプロダクトの単価の約3倍になるため、究極的には、「プロダクト自体はタダだけど」というビジネスモデルになることがあります。例えば、Linux等のオープンソースソフトウェアに対するサービスを提供するRed Hat等。他業界では、今日GMは自動車そのものを売っても利益は出ておらず、ローン等の金融サービスで儲けている といった事例があります。

それから、サービスはコモディティ化しづらい。急に売上が減ることがない。というメリットもあります。

※このパートに関しては、「ソフトウエア企業の競争戦略」に詳しく書かれています(講演は初めての人にもわかるようにサマリを説明している感じだった)ので割愛しますが、未読の方は、ご参考として私のレビューをご覧下さい。

●現在ソフトウェア・ビジネスに起こっているイノベーションとは

ITバブルを境にして、業界のマクロな変化としては(上場しているITサービス企業のデータを分析した結果)、

  • 1999年をピークに、上場企業数は減少してきている
  • 売上高に占めるプロダクトの割合は、1997年をピークに減少してきている

それから、プライシング・モデルが変化してきているそうです。少し前までは、「購入時の初期ライセンスフィー」が代表的かつ主要な課金方法でしたが、「プロダクト自体は無料(サービスは有料)」「オープンソース」「広告による収入(なのでユーザー自身が直接お金を払うことはない)」「利用量に応じた料金」等の新しいモデルが登場してきており、しかも、そういう戦略を取るソフトウェア企業が増えてきているそうです。

●今後ソフトウェア企業が考えるべきこととは

  • ソフトウェアプロダクトをハードやサービスに組み込んだ形で(Embedded)提供する
  • 継続的なサービス提供を前提とした「プラットフォーム」的な仕組みを構築する
  • サービスのR&Dにもっと投資する

●サービスの重要性が増すソフトウェア産業におけるグローバリゼーションは?

顧客ニーズの標準化・一般化がプロダクト化のキモであり、サービス化のキモは、「顧客個別のニーズをとらえる」ことにある。必然的に、サービスビジネスにおいては地域性が重要になるだろう。ソフトウェア企業のグローバル化の方向性として考えられるのは、

  • メソドロジーやフレームワーク、アプローチ等をグローバルで共通化するが、デリバリはそれぞれの国・地域に合わせてカスタマイズする:Accenture, IBM Global Services
  • 顧客との接点をもち、個別具体的なニーズをおさえるところはローカルコンタクトを活かし、製造工程等をインドへアウトソースする

ちなみに、インドのITO/BPOアウトソーサー最大手のInfoSysは、年40%の成長を続けており、従業員数は既に6万人。今後1年で3万人採用を予定しているそうです。インドのソフトウェア企業は、低コスト・Operational Excellenceが競争優位のポイントだそうです。(日本は元々閉じた市場だし、プロダクトが弱くてサービスが圧倒的に優位なので、今後日本のソフトウェア企業はどうすべきだろうか?についても、もう少し聞いてみたかった。。。)

●このままソフトウェア産業はsaturationしてしまうのか?disruptive technologiesは再び出てくるだろうか?出てくるとしたら、どの辺り?

これにはクスマノ教授も、「分かりません!」とのことでした。

ちなみに、会場内で多数決を取ったところ、

  • 「今のソフトウェア産業の状況は、プラットフォームがPCベースからインターネットへシフトする過程の一時的なものであり、また活発にプロダクトが出てくるようになる」という楽観派
  • 「もうソフトウェアは完全にコモディティ化したので、今後は新しいものはそんなに売れない。後は個別ニーズに応じたサービスだけだろう」という悲観派

圧倒的に、悲観派が多数を占めました。(私個人はマイノリティの楽観派です。前にもブログに書いたことがありますが。 → 課題意識を整理する