September 27, 2007

ハイテク企業のブログでの注目度合いと株価の相関

最近、株を買おうと思って勉強しています。「会社とお金」というトピックについて勉強するという意味もあり。どこのを買おうかなぁ、と物色しながら色々な会社の株価(およびここ数年の推移)をみるのは面白いです。

私なりに理解している「会社にとって株価が大事な理由」は、「株価が下がりすぎると、公開企業の場合は買収の危険性が増すし、非公開企業の場合、評価が下がると事業運営上必要な資金が調達しづらくなるから」です。

ところで、ふと湧いてきたのが「株価ってどう決まるんだ???」という疑問。投資家の立場で考えると、「将来も値上がりしそう=今後も事業の成長性がありそう」な会社だからこそ、そこの株を買いたい人が多くなり、株価が上がっていく、ということになろうかと思います。

世間の人の「この会社は将来も値上がりしそう」期待度は、ブログでの注目度と相関があるのだろうか?と気になったので、ぱぱっと思い付きで、似たカテゴリ(インターネット企業)でブロガーが注目してそうな公開企業を調べてみました。

                                         
企業名テクノラティ言及数株価(9月27日のいつか。単位は米ドル)
Google248,727569.15
Apple41,909153.3
Amazon220,88793.63
eBay61,46139.21
Microsoft336,47929.55
Yahoo35,86226.49

散布図の縦軸が株価、横軸がブログ言及数です。相関係数は0.285程度と、弱い相関しかありません。が、グラフで一番右下のMicrosoftを除くと、相関係数は0.69まであがりました。サンプル数が少ないですが、もう少し増やしてみたら面白いかもしれません。(同じジャンルの公開企業でよさげな会社が思いつかないので、もし候補思いついた方、お知らせいただけると嬉しいです。)

でも、株を買う(かもしれない)立場としては、その時点でのスナップショットよりも、できれば「今後値上がりしそうな会社」を探したい訳なので、欲しいのは、どちらかと言うと株価が上がる際の先行指標なんですよね。

ちなみに、私はデイトレード派ではないです。日中は本業があるしマメじゃないので、株価を始終気にする生活はできない。性格的にも向いてなさそうだし。なので、企業情報を地道に見ていって「きっとこの会社は価値が上がる」と思えたらそこの株を買う、という方法(ファンダメンタル分析?)をとろうと思っています。従って、株価が上がる際の先行指標は何か?を気にするのは、単なる知的好奇心です。

※私は今回のエントリで取り上げたいずれの会社の株も現在保有していません。

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June 27, 2007

やってしまった

名残桜だねぇ、なんて美味しい魚やお酒に舌鼓を打ってたら、夏になっちゃいました。てへ

徒然に近況を報告しますと、

  1. 遂に靴をオーダーしてしまった。といってもパターンオーダーだけど。ポニーなんて素材をうっかり使ってしまったもので、普段はもったいなくてあんまり履いてません。ちなみに完成まで半年待ちました。スペイン人はのんびりしてるのぉ。(写真は後日)そういや最近、一目惚れして買ったサンダル (Chie Mihara)もスペイン製でした。
  2. 遂にMacbookを買ってしまった。初めてのマックなので大丈夫かなぁ?と多少心配だったのですが、全然何とかなってます。「最近のPCってほんとFireFoxが動けば何とかなっちゃうんだなぁ。」「マックって設定楽!」「フォントがきれい!」「iPhotoってば使い勝手よすぎ!」等々、色々新鮮です。ていうかCore 2 Duo積んでこの値段だったらWindowsより安いだろ、と思いました。ちなみに、追加で買ったソフトは、ATOKとPhotoshop Elements、それとMS Officeです。Officeは、買おうかどうしようか最後まで悩みました。ワープロとプレゼンテーションソフトだけならiWorkで良いんだけど、やっぱスプレッドシートがないと〜。。。と悩んだ自分。ということはつまりMS OfficeのキラーアプリってExcelか。
  3. 遂にハーブを育てることになってしまった。会社の同僚が月桂樹を生け垣にしているそうで、たまに刈り込んだ後の葉っぱをいただいているのですが、オーガニック、しかも取れたてなので、香りが断然違うのです!トマトソースにポトフにカレーに、大変美味しく活用させていただいています。これまではアメリカで買ってきたMorton And Bassettsを使っていたのですが。感激して「私も今年ハーブを育てようと思ってる」と宣言したら、ミントとバジルの苗を分けてもらっちゃいました!あと、シソの種を買ったのでこれも蒔きます。サラダに、お蕎麦やパスタに、はたまたベト麺に、ちょっとだけハーブがほしいとき、いつでも手に入るって素敵〜。ワクワク。

April 23, 2007

名残り桜

女友達に誘われて、若き寿司職人 岡田大介さんの「酢飯屋」が開く「旬の会」にお邪魔させていただきました。テーマは「名残り桜」。

まさしく今が旬の桜海老を中心に、美味しいお魚をいろいろいただく会です。たまたまホームパーティにおよばれした格好の、知らない人同士8人がテーブルを囲むのですが、なぜかデザートの頃にはすっかり打ち解けていました。この日は、お料理と合うお酒(ワイン2種類&日本酒3種類)を選んでくださった、金井麻紀子さんもいらっしゃったので、ワインのお話もいろいろ聞けてラッキー!お料理もお酒もおいしかった〜。おいしいものが好きな人同士って、どうしてこんなに話が盛り上がるんだろう(笑)

次回は、気の置けない食べるの好きなお友達数人で、ぜひ岡田さんのお寿司が食べてみたいなあ。


ほんのり桜色の金目鯛を、蛤の出汁でしゃぶしゃぶ。
まるで八重桜のような艶やかさ。皮が縮まる3秒間ぐらい出汁にくぐらせて、レアでいただくのが最高です。

鰆(さわら)の塩焼き。一匹丸ごとだとけっこう大きいんですね。次回はぜひお刺身を!

たこのスモーク。土鍋風の陶器(伊賀焼き)「いぶしぎん」を使うと、おうちでスモークができるそうです。しかもたった30分で!!当然チップは桜の木。いい香りだ〜

筍の田楽。この日はラッキーなことに穂先の柔らかい部分ばかりでした。

杏仁豆腐。器も桜模様です。これに、ベリー/チェリーの味のリキュールをかけていただきました。
写真では分かりづらいですが、憧れの「バケツプリン」ならぬ「バケツ杏仁」サイズです!!

あ、しまった、メインの桜海老の写真がない。。。。(生桜海老、釜揚げ、桜海老の炊き込みご飯、をいただきました。おこげにしゃぶしゃぶのだし汁をかけて食べたらウマーでした)

嗚呼、日本人でよかった!!

April 16, 2007

自分と社会と仕事と (2)

今年、私は自分の会社の新卒採用活動のお手伝いをしている。ハッキリ言えば、面接官みたいなものだ。ずいぶん前にもリクルーターをしたことがあったのだけど、その時は気づいていなかったことに、今回いろいろと気づくことができた。

  • 若い社員に分かるのは、「誰が見ても合格」「誰が見ても不合格」な候補者である。
  • 若い社員の場合(特にその社員が自分に自信を持っている場合)上記以外のいわゆるボーダーライン上の候補者に対する判断基準は、「自分と似ている候補者」に偏りがちなことがある。
  • 自分とタイプが違う候補者に対してもバランスの取れた見方ができるようになるには、社歴(あるいは社会人歴)5〜8年は掛かるようだ。
  • チームリーダーとして、「いろいろな人がいないと困る」と考えられるようになるのは、その後のこと。

そんなわけで、今年は、新卒の学生さんと会うことだけでなく、一緒に採用活動に関わっている(私より)若い人の話を聞くのが非常に面白かった。と、こういう話を、先日、行きつけの美容室でスタイリストさんにしたら、「美容師も、一人前と言えるようになるには、人によっても差はあるが、だいたい5〜8年掛かる」と言われた。

私はSE、美容師さんとは業種も職種もかなり違うが、この偶然の符丁には何か法則性や意味があるんだろうか?

(次回へ続く。多分。ちなみに前回は半年以上前だった。。。)

March 04, 2007

マイケル・クスマノ「サービス・イノベーションの重要性」

一橋大学イノベーション研究センター創設10周年記念国際シンポジウム 「イノベーション研究のフロンティア-日本の国際競争力構築に向けて」に参加して来ました。

このブログをご覧になった方には、一目瞭然かもしれませんが、「ソフトウェア産業」「イノベーション」「日本の国際競争力」は、三度の飯の次ぐらいの私の大好物です。なので、今日のセッションはいずれも面白くて、終日興奮しまくりでした。いや~、こんな充実したカンファレンスが無料とは、何て太っ腹なんだ!>一橋大学&日経新聞

しかも、クスマノ教授の著書、とりわけ「ソフトウエア企業の競争戦略」「プラットフォーム・リーダーシップ」は私の座右の書。もう、教授の話が生で聴けて、直接質問させていただいて、しかも、講演の後には"The Business of Software"(ソフトウエア企業の競争戦略の原著)にサインまでいただいたので(そのために家から本を持参した)、超満足です。

そんなわけで、まずは、一番楽しみにしていたクスマノ教授の講演の議事メモからアップします。(講演資料は後日ウェブで公開されるそうです)講演のキモは、

  • 2001年以降、ソフトウェア業界では、深刻なコモディティ化によってプロダクト(≒パッケージソフトウェアのライセンス)売上が減少している。
  • プロダクト売上の減少を補うものとして、業界全体的に「サービス」の割合・重要性が増してきている。
  • ソフトウェア企業のビジネスモデル(レベニューの上げ方)は、多様化してきている。
  • しかしながら、プロダクトとサービスの売上高の割合の変化という事象の捉え方として適切なのは、「個別企業のビジネスモデルの変化」なのか、「プロダクトライフサイクルの変化」なのかは分からない。
  • また、サービスの重要性が増していることについて、これが一時的なトレンドなのか、今後もずっと続くものなのかも、分からない。

●これまでのソフトウェア・ビジネスのメカニズム

サービスというのは、「プロダクトが売れなくなった会社にとっての墓場だ」(Scott McNealy)という言葉もあるように、一般的には、労働集約的で、プロダクトに比べて利幅も薄く、人数を増やす以外に売上を伸ばす方法がないと考えられています。

しかしながら、プロダクトを売ると、それに伴うメンテナンスやカスタマイズ、コンサルティング等サービスも含めると、ソリューション全体としての売上はプロダクトの単価の約3倍になるため、究極的には、「プロダクト自体はタダだけど」というビジネスモデルになることがあります。例えば、Linux等のオープンソースソフトウェアに対するサービスを提供するRed Hat等。他業界では、今日GMは自動車そのものを売っても利益は出ておらず、ローン等の金融サービスで儲けている といった事例があります。

それから、サービスはコモディティ化しづらい。急に売上が減ることがない。というメリットもあります。

※このパートに関しては、「ソフトウエア企業の競争戦略」に詳しく書かれています(講演は初めての人にもわかるようにサマリを説明している感じだった)ので割愛しますが、未読の方は、ご参考として私のレビューをご覧下さい。

●現在ソフトウェア・ビジネスに起こっているイノベーションとは

ITバブルを境にして、業界のマクロな変化としては(上場しているITサービス企業のデータを分析した結果)、

  • 1999年をピークに、上場企業数は減少してきている
  • 売上高に占めるプロダクトの割合は、1997年をピークに減少してきている

それから、プライシング・モデルが変化してきているそうです。少し前までは、「購入時の初期ライセンスフィー」が代表的かつ主要な課金方法でしたが、「プロダクト自体は無料(サービスは有料)」「オープンソース」「広告による収入(なのでユーザー自身が直接お金を払うことはない)」「利用量に応じた料金」等の新しいモデルが登場してきており、しかも、そういう戦略を取るソフトウェア企業が増えてきているそうです。

●今後ソフトウェア企業が考えるべきこととは

  • ソフトウェアプロダクトをハードやサービスに組み込んだ形で(Embedded)提供する
  • 継続的なサービス提供を前提とした「プラットフォーム」的な仕組みを構築する
  • サービスのR&Dにもっと投資する

●サービスの重要性が増すソフトウェア産業におけるグローバリゼーションは?

顧客ニーズの標準化・一般化がプロダクト化のキモであり、サービス化のキモは、「顧客個別のニーズをとらえる」ことにある。必然的に、サービスビジネスにおいては地域性が重要になるだろう。ソフトウェア企業のグローバル化の方向性として考えられるのは、

  • メソドロジーやフレームワーク、アプローチ等をグローバルで共通化するが、デリバリはそれぞれの国・地域に合わせてカスタマイズする:Accenture, IBM Global Services
  • 顧客との接点をもち、個別具体的なニーズをおさえるところはローカルコンタクトを活かし、製造工程等をインドへアウトソースする

ちなみに、インドのITO/BPOアウトソーサー最大手のInfoSysは、年40%の成長を続けており、従業員数は既に6万人。今後1年で3万人採用を予定しているそうです。インドのソフトウェア企業は、低コスト・Operational Excellenceが競争優位のポイントだそうです。(日本は元々閉じた市場だし、プロダクトが弱くてサービスが圧倒的に優位なので、今後日本のソフトウェア企業はどうすべきだろうか?についても、もう少し聞いてみたかった。。。)

●このままソフトウェア産業はsaturationしてしまうのか?disruptive technologiesは再び出てくるだろうか?出てくるとしたら、どの辺り?

これにはクスマノ教授も、「分かりません!」とのことでした。

ちなみに、会場内で多数決を取ったところ、

  • 「今のソフトウェア産業の状況は、プラットフォームがPCベースからインターネットへシフトする過程の一時的なものであり、また活発にプロダクトが出てくるようになる」という楽観派
  • 「もうソフトウェアは完全にコモディティ化したので、今後は新しいものはそんなに売れない。後は個別ニーズに応じたサービスだけだろう」という悲観派

圧倒的に、悲観派が多数を占めました。(私個人はマイノリティの楽観派です。前にもブログに書いたことがありますが。 → 課題意識を整理する

February 26, 2007

ノスタルジーへの体の欲求

私は1人でお茶を飲むのが好きだ。もちろん、家族や友達と一緒に色々お話しながら飲み物をいただくのも楽しいが、初めて入るカフェや喫茶店で、1人で居心地良く寛げた時の悦びは、珍しい昆虫を捕まえたときの小学生の得意さに匹敵するものがある。

私が1人で入って寛げて、楽しい場所。

お店の中の眺めや、窓の外の景色がうるさくないこと。緑があって適度に静かなところ(静か過ぎても緊張する)だと最高である。東京という街は、普通に生活しているだけでも目や耳から入る刺激が圧倒的に多いので、それが削ぎ落とされているだけで随分気持ちが落ち着く。
それと、お店が混みすぎておらず空きすぎていないこと。混んでいると、次のお客さんに席を譲らなきゃ、と気を揉むし、空きすぎていると違う意味で心配になるので。程よく賑わっていて、お店の人も適度に忙しく、お客さんを構いすぎない、そういう雰囲気が大好き。
飲み物はおいしいほうがもちろん良いが、そのお店の全体的な雰囲気とバランスが取れていると安心する。
また、趣味の良い古い食器を直しながら使っているお店というのは、モノを大事にする奥床しさが伝わってきて、好ましく感じる。

こういうお店で、ぼんやりと物思いに耽ったり、途中でとまっていた本の続きを読んだり、色々なことについて反省したり計画を考えたりする時間は、私にとって最高の贅沢の一つかもしれない。

そんな「最高の贅沢」を味わう場所として、私が今一番気に入っているのが、「古桑庵」

カフェ、というのはちょっと違う。茶房、もしくは甘味処 のほうが確かにしっくり来る。
でも、もっとしっくり来るのは、「おばあちゃんのうち」である。

たいそう風流な庵である。なのに、訪れる人を緊張させず、大らかに受け入れる。広い和室に御膳と座布団がひかれていて、大きな窓からはお庭が見える。お庭はそれほど広くはないが、造った人が色々考えて心地よく設えたということがよく分かる。手作りのコースターやティッシュケースも、着物や箱をリサイクルして拵えた可愛らしい和風な小物達である。お日様ぽかぽかの午後は、窓際が特等席である。ときどき隙間風が入ってくるのもご愛嬌。「昔の日本の家ってこうだったよね」とむしろ和むから。気が付くと、足がむずむずして、つい、畳にコロンと寝転がりたくなる。座布団を半分に折って頭の下に敷いて、あったかい縁側で三毛猫でも抱いて転寝できたら、さぞかし気持ちが良いだろう。

人間どんなに偉くなっても、お金持ちになっても、自分の死に方まではなかなか選べないが、できれば、80歳ぐらいまで長生きして、そういう風にお昼寝しながらポックリと死ねたらいいな。

お善哉をいただきながら、そんな先々の自分の人生にまで思いを馳せた私であった。よく考えたら、私のおばあちゃんのうちは全然古桑庵とは違うのだが、なぜか懐かしさを感じる。ノスタルジーへの体の欲求ってあると思う。渇いた喉を潤すように、時々私は「懐かしいもの」が欲しくなる。

「古桑庵」
住所/目黒区自由が丘1-24-23 
電話/03(3718)4203
営業時間/11時~18時30分
定休日/水曜日

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February 18, 2007

もう少し詳しく見る日本のIT業界の構図

私は、日本のエンジニアに、よりハッピーになって欲しいし、そうなれるはずだ、といつも思っているので、こういうテーマになると、つい話が前のめりになりがちなので、「まぁ落ち着け」「いやそれは違うだろ」「余計なお世話だよ」等、同業者の方からの愛あるツッコミは歓迎です。

さて、前回のエントリで、日本のITとりわけソフトウェア業界は、もう少し再編されたほうが良いのではないかと書いた。なぜそう思ったのか、もう少し(主にソフトウェア会社側の思惑という観点から)補足しようと思う。

IT業界では、エンジニアの生産性は、人によって10倍程度差があるとよく言われる。→プログラマの労働条件を過酷にしているのは、過酷な労働条件を受け入れるプログラマです
しかし、優秀なエンジニアが10倍給料をもらっているかというと、そうではないと思う。この原因を想像すると、

  • 「AさんはBさんより10倍生産性が高い」ということが、測定しづらい。明確にソフトウェアの構造がモジュール化されていない状態でも、「あうんの呼吸」で全員が渾然一体となって仕事を進めることが多く、個々人のパ フォーマンスが相互に依存し合っているので、個々人の成果が分かりづらいし、本人も「自分はあの人より10倍働いた」と主張しづらい(「能ある鷹は爪隠す」みたいな、文化的なものもあるかもしれない)。
  • 厳密に個々人の生産性を測定するモチベーションが働いていない。顧客にとっては、エンジニアごとの生産性の差を識別するすべがない・その価値がよく分からないので、生産性10倍だからと言って、10倍の単金をチャージできない。エンジニアの人数が多くなると、一人一人の能力に応じて価格設定するのは現実的でない。(計算が面倒だし、下請・孫請・派遣など、色々な会社のエンジニアでプロジェクトが構成されることが多い。しかも、内訳を厳密に顧客に提示することはまずない)丸めて、「1人月幾ら」「1LOC当たり幾ら」と平均化した価格に落とさざるを得ない。 

もう一つの観点として、日本のソフトウェア開発のアプローチは「工場」的(マイケル・クスマノ「ソフトウエア企業の競争戦略」より)だということもあるかもしれない。なるべく、属人的な能力の差によって品質にムラが出ないようにしているということだと思う。きちんと比較したことがないので推測だが、日本の方が、より組織内での標準化を進めているということかもしれない。もしくは、元々ソフトウェアの専門教育を受けていない若い社員を、徒弟制度のごとく先輩社員と組ませ、OJTで育成する過程で、組織のやり方を教えて行くことが多いからというのもあると思う(個人的な実感にも近い)。

ニワトリとタマゴかもしれないが、上述のような状況を踏まえると、日本のソフトウェア会社の基本的な行動規範は、「一人一人のエンジニアの開発能力をなるべく標準化・定型化し、会社全体として稼働率をあげる」方向に向かいがちである。黙って会社に座っていても、ゴリゴリ働いていても、同じ給料を払うんだったら、少しでも社員の稼働率を上げたい。しかも、顧客に請求する額というのは「掛かった時間」「生産した量」だから、部品の再利用やパッケージソフトウェアによって今回作る量を減らすというモチベーションは働きづらい。そもそも、「この機能だったらこのパッケージが使えるからそうしよう」と提案しても誉められない・評価に繋がらない(そういう行動規範がない)し、慢性的に残業が多くて他のプロジェクトの状況を知らないので部品化・再利用もなかなか進まない、だから毎回一からゴリゴリと作る、というループに陥りがちなのではないか。

もう一つ、日本のソフトウェア会社が「生産性をあげる」時に向かう方向は、「少しでも安い人件費でエンジニアを調達する」ことだ。業界全体が過当競争なので「仕事がなくてもエンジニアには給料を払わなきゃいけないんだから、値段が安くても仕事がないよりはまし」になっているか、あるいは、「ここで仕事を取っておきさえすれば保守運用もあるし、次の仕事にも繋がるし」という思惑で、価格を下げる会社が多いのではないかと想像している。

「こんな値段じゃ作れない」と、自社の基準に満たない仕事は断る、それで資金繰りが回らなくなったら、その会社は市場から撤退して、エンジニアは他の会社に移る。こういうサイクルが回るような環境があれば、そのほうがエンジニアは幸せなのではないか?(あと、書きながら思ったが、そもそも、採算ラインを割るような無茶なオファーは、足許を見られているから来るわけなので、そういう条件の悪い仕事しか来ない分野からは撤退した方が良いようにも思う。あるいは、システム開発自体、ソフトウェア会社による差異化があまりなく、コモディティ化している、ということかもしれない)

では、どうすれば脱コモディティ化や生産性向上ができるのか?だが、今のところ、これについての私の個人的な意見は、やはり「部品化」「パッケージソフトウェア化」である。なんか当たり障りない意見で申し訳ないのですが。

今の日本では、パッケージソフトウェアは、まだまだ市場としての規模が小さい。

経済産業省「特定サービス産業動態統計」に基づくJISAの発表によると、平成17年の日本の情報サービス産業は約10兆円(9,726,785百万円)、そのうちソフトウェア開発・販売が7兆円(6,934,075百万円)、そのうちパッケージソフトウェアと思われる「プロダクト」は1兆円程度しかない。しかも、プロダクト型のうち、4割はゲームソフトらしい。日本におけるパッケージソフトウェア単体での販売は、7,000億円弱、つまり、ソフトウェア産業全体のうちパッケージソフトウェアは1割程度ということになる。(※1)

が、これまた根拠も何もない超主観的な直感として、まだまだパッケージソフトウェアによる標準化が可能な領域はたくさんあるのではないか、と思う。前もブログに書いたことがあるが、グローバル市場のトレンドではパッケージソフトウェアは2割ぐらいなので、今でも倍はいって良いはずだし、今後はもっと増えるかもしれない。「生産効率の高いシステム提案で,エンジニアは早く家に帰ろう」──ソフトブレーンの宋文州氏が講演:ITpro には、個人的には激しく同感。ただ、同時に、パッケージソフトウェアをもっと増やすためには変えたほうが良い点は色々あるとも思う。どうなったら良いのか?についての私の考えは、また次回書こうと思う。

(すいません、細切れで。。。でも、ブログって、長くて複雑な話を書くのは難しいので、「本って完全にはなくならないんだろうな」、と、「ウェブ人間論」での梅田さんのコメントに改めて納得する私。)

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February 16, 2007

日本のIT業界のマクロな構図

業界内では半ば常識かもしれないが、自分の頭の整理のために書いておきます。

日本のIT業界のマクロな構図として、大手のプレイヤーはみんなコンピューターメーカー系列だという点が特徴として挙げられると思う(IBM、富士通、NEC、日立)。私の理解している範囲で、これまでの経緯をザックリとまとめると、

  • ハードウェアに関しては、国策としてコンピューターメーカーの育成をしてきた。(そのため、元々産業規模の割にメーカー数が多かった)
  • ソフトウェアに関しては、元々は、コンピューターメーカーが高価なハードウェアを買ってもらうために「オマケ」として提供するところから始まった。しかし、メーカーごとに独自のアーキテクチャーが存在したため、いったんユーザーを囲い込んでしまえば、その後の価格交渉はメーカーに有利だった。ゆえに、「最初は値引きで何としてでもユーザーを獲得し、その後の保守運用・サービスで儲ける」というビジネスモデルがしばらく続いた。(ハードウェア部門を持たないシステムインテグレーター、ソフトハウスは、メーカー毎に系列化・ヒエラルキーを形成)
  • オープン・システム時代の到来により、ハードウェアの利益率が低下。会社規模を維持するために、メーカーはこれまで以上にソフトウェア事業に力を入れざるを得なくなったが、どこも同じ状況なのでみんながソフトウェア事業に殺到。しかも、以前よりメーカーを乗り換えるのが容易になったため、価格交渉におけるユーザーの立場が強くなり、オープン・システムの構築・運用の価格相場は低下した。
  • しかし、過去の遺産があるため、採算の悪い事業があっても会社としては潰れない。プレイヤー数が減らないので価格は下げ止まらず、オープン・システム分野では過当競争が続いている

コンピューターメーカー系列以外のプレイヤーとしては、相当メジャー度は落ちるが、ユーザー企業系列のシステム・インテグレーターが存在する。(通信会社系、製鉄会社系、銀行系、商社系など)これは、親会社の業績を良く見せるため等の理由で、情報システム部門を子会社化したところにルーツがある。

いずれにせよ、アメリカと比較すると(※1)、「システム」を構築する要素のうち、ハードウェアとソフトウェアのビジネスとしての分化がそれほど進んでいない(同じ会社が提供している)のが、日本の特徴だと思う。

では、今後どうなるのが良いのだろうか。これについては、(むちゃくちゃ乱暴な仮説だが、)もうちょっと業界再編が進んだほうが良いのかもしれない、と個人的には思っている。採算の悪い会社が市場から撤退し(吸収合併)、業界全体の生産性が改善していかないと、立ち行かないのではないか。

今の日本のIT業界では、パッケージソフトウェアの占める割合が小さく、かなりの部分はカスタムメイドのソフトウェア・SI型が占めていると思うが、この中核たるPMがいない・足りない、と良く聞く。なりたがる人が少ないのだそうだ。そもそも、SE自体が3Kと言われる不人気職種だそうだが、大工(=SE)の世界で棟梁(=PM)が憧れの存在ではなくなっているというのは、かなり危機的な状況なのではないかと思う。

どうやって生産性を改善すれば良いのかについては、また次回以降に考えてみたい。

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February 06, 2007

なぜいつもITプロジェクトは失敗するのか?

2005年に米国で遂行されたITプロジェクト17万件のうち、機能、予算、期間等が当初の想定内に収まったものは16%であり、日本でも、「企業IT動向調査2006」(社団法人 日本情報システム・ユーザー協会)によると、システムの仕上がりに満足と回答したユーザーは10%前後だったそうである。(出典:プロジェクトが失敗するのは当たり前?!@IT情報マネジメント

また、私個人がザッと調べてみたところ、よく「ITプロジェクトの成功・失敗確率」の英語文献で引用されているのは、ITプロジェクトの遂行度合いを10年以上に渡って調査しているStandish GroupのCHAOS Reportのようだ。これの2004年度版(調査対象は4万案件)によると

  • 失敗に終わったプロジェクトは全体の15%(1994年は31%)
  • 納期遅延、予算超過、致命的な機能落ち等はありつつ、まぁ何とかカットオーバーにこぎつけた(Challenged) のが全体の51%
  • 上記から逆算すると、成功したのは34%
  • "Challenged"だったプロジェクトの殆どは、20%以内の予算超過
  • 失敗プロジェクトも含め、予算超過案件全体の平均値は「予算を43%オーバー」(1994年は180%)
  • 米国全体で無駄に費やされたプロジェクト費用は$55 billion(1994年は$140 billion)。うち$38 billionが"in lost"、つまり「お金は遣ったんだけど何も生み出さなかった」かな?で、$17 billionが予算超過。

Standish Groupの調査基準の詳細が分からないが、もし仮に、上記の「失敗」の定義が、純粋に「全然システムが作れませんでした~」という事態を指すとすると、これに、「手術は成功しました。患者は死にました」系の広義の失敗プロジェクトを加えると失敗率はもっと上がるだろうから、「成功率は10%台」という数字も、あながちおかしくはないように思える。

まとめると、ITプロジェクトが、予算と納期を守ってカットオーバーし、かつユーザーの期待通りの機能をきちんと提供できる可能性は10に1つ程度らしい。ぶっちゃけた話、ITプロジェクトは殆どが失敗する(広い意味で言うと)ということになる。「10回戦って勝てるのは1回」というのは、ギャンブルで賭ける側とすれば割が良いのかもしれないが、競馬馬だったら良いレースには出れないし、相撲取りだって一場所に1.5勝じゃ出世は厳しいだろう。ましてや戦争だったら、兵士はたまったものではない。

しかし、ITプロジェクトの現場が、爆弾を抱えていたり、火を噴いたりして、火消しが召集され、それでも足りなくて傭兵部隊を投入、なんて話は日常茶飯事だと思う。(これって私の周りだけ?)

最近(に始まった話じゃないけど、)こういうことをよく考えている。頑張っても頑張っても成功しない。これは辛いことだ。でも、現実なんだから、目を逸らすわけには行かない。次回から少しずつ整理しつつ、じゃあどうすれば良いのかも、私なりに考えてみようと思う。

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February 05, 2007

更新をお休みしていた間

1ヶ月もブログをサボっちゃいました。てへ。すいません。

更新をお休みしていた間、何をしていたか?というと、

  • 初めて「システム」の見積を書きました。システムインテグレータに働いて8年近くになるけど、今までは自分の工数ぐらいしか出したことがなかったので。以前、ソフトウェア業界の売上高で見ると、上位はシステムインテグレータとITコンサルばっかりだ、と書いたことがありますが、激しく納得しました。「ソフトウェア」の購入費用に加えて、サーバを置くための建物・フロアの家賃に通信費、電力、監視やヘルプデスク対応するSEの人件費、保守費用 等を積むと、パッケージソフトの額の何倍にもなってしまうんですよね。当然、私一人の作業でなく、「この部分はあの人に」てな具合で、見積自体が一つのプロジェクトでした。
  • そして、その案件は失注しました。詳細には触れませんが、もっとやり方は色々あったなぁ・・・と色々反省しました。一言で言えば、自分自身の腰の入り方が中途半端だったなと。「あれがない、これがない」と言うのは簡単だけど、チーム全体でやらなければいけないことがあって、どれができてて・できてないか を把握しつつ、回ってないところがあったら、どうカバーするか考えなければいけなかったなと、後になって気づきました。
  • 年末年始は久々にベイエリアに行って来ました。約1年ぶりに。景色は全然変わらないのですが、驚いたことが3つあって、①スマートフォンがむちゃくちゃ普及している!1年前から、モノはあったんだけどサービスがあんまりなかった印象がある。しかし今では、携帯でGoogle MapもGmailも見れてしまう。ますます、OSもブラウザもサービスも「ケータイ独自文化圏」を築いてきた日本のガラパゴス諸島化は進むのだろうか。②日本のマンガの英訳版が、本屋の中でメジャーな存在になっている!1年前も、大きな本屋だと棚一つぐらいはあったが、あくまでマイナーな存在だったのが、BordersやBarnes and Nobleでは「コーナー」に昇格されていた。③流れてる曲名が、カーラジオに表示されるようになってる!これは、私の車が中古で、しかもお手頃タイプだったから知らなかっただけで、実は前からあったのかもしれない。でも、どうやってデータ配信してるんだろう。。。
  • 年明け早々、仕様も知らないシステムの導入支援に借り出され、2週間ほど地方巡業をしていました。全くプロジェクトの状況も分からず、客先の人間関係も、指揮命令系統もよく分からない状態でイキナリ放り出されて、現場で故障の切り分け・問合せ対応しなければいけないという、なかなかスリリングな経験でした。しかしながら、修羅場経験者曰く、「大丈夫、大丈夫!まだ全然大したことないよ!だってシステム動いてるし~」だそうです。。。いやいや、まぁ、そうなんだけどね。。。結果から言うと、非常にためにはなったのですが、「冬の金沢」という、食いしん坊にはまたとない機会だったのに、あんまり海の幸を満喫する心の余裕はありませんでした。

そんなこんなでバタバタしており、2007年ようやく初めての更新ですが、今年もよろしくお願いします。

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